太刀岡山ルートガイド

開拓の経緯

太刀岡山全景週末の大いなる冒険に、熱に浮かされたように通いつめていた昇仙峡も、いつしか開拓の場が失われ、地元開拓グループの活動も徐々に冷めつつあった。ある者はクライミングを離れ、ある者は県外の既製ルートを転戦する日々が続いた。しかし、人跡未踏の未知の岩にオリジナルのルートを引いていく喜びは、そう簡単に忘れられるものではない。
それは、湯河原幕岩でのキャンプの一言から始まった。「実はいい所があるんだけど・・・」「えっ?そんな所あったっけ。」後日その岩を訪れると、「これは!」と思わせる魅力的なラインが目に飛び込んできた。実にかっこいいのだ。しかも立っている。スラブと傾斜の緩いクラックに慣れていた我々には、それはまさに異次元的な光を放っていた。甲府 のクライミング史の中で最も印象深く、太刀岡山開拓の発火点となった「ステミュラント」5.12a/bである。
もともとこの岩場の存在は、地元クライマーなら誰でも知っていた。人工ルートのあるアルパインのゲレンデとして。しかし誰も手を付けなかった。いや、手を付けられなかったのである。
ある時、見知らぬ東京のクライマーから電話がかかってきた。「太刀岡山に岩場があるそうですが、開拓してもいいでしょうか?」即答する。「是非やってください!お願いします。汚すぎて我々にはとても出来ません。」以後、そのクライマーから音沙汰が無いのは言うまでもない。
猛烈に汚い壁に、猛烈な掃除と開拓が始まった。文字どおり、雨の日も風の日も雪の日も。地元で流行のフェースクライミングが出来るのが痛快であった。我々にとって初のツエルブもこの中で生まれた。下部岩壁「メインエリア」では、「ステミュラント」の他に「モアイ」5.12b、「朱夏」5.12c、「スタイルはいいのだけれど」5.11d/12aが。蟻地獄エリアでは「ヘルタースケルター」5.12c。シャークロックエリアでは「I'mバッツォー」5.12c、「エトバス・ノイエスII」5.12b。
そして、今や訪れるクライマーが絶える事の無い小山ロックへと掃除は進み、ここに太刀岡山の開拓は頂点に達するのであった。

一面を岩茸に覆われたこの岩峰は、下部岩壁とは別世界の前傾壁。しかもポケットホールドが豊富だった。なぜ今までここに手を付けなかったのだろうか?。それは、正面に据えられた祠に象徴されるように岩全体が奉られていたからだ。地元住民に聞いたところ、既に仏様は存在せず、抜け殻であり、知らない一部の登山者などが、供え物をしているそうである。地主小泉商店の小泉氏も開拓を快く承知してくれた。
小山ロックの開拓は、1992年12月から行われた。頂上へは歩いて行けるところが無く、岩茸だらけのスラブをフリーソロした。重い開拓道具を背負っての初登だ。丁度この日は小雨混じりで、条件は最悪であった。その後、都合のいいことにトンネルを発見して、FIXロープを張り、恐い思いをしなくて済むようになった。
フリーのルート1号は荒川による「ハッピーバースデー」5.11a。同時期に小山は「カリスマ」5.13aに着手していた。ヨーロッパ、アメリカでクライミング修行をしてきた彼にとって、5.13aが当時の自己最高グレードであった。しかし、アメリカで食に目覚めた彼は、ファッティーになり減量することが先決であった。その小山も翌年3月には復活を遂げ、「カリスマ」を初登。続けて「フォーゲル」5.12dを初登した。これらのルートは、現在でも山梨を代表する高難度ルートである。
1993年春には、阿行子(※)などが開拓に加わり、アッという間に全面がルートに覆われた。新緑につつまれる頃には開拓もほぼ終了し、太刀岡山の開拓に一区切りが付いた。その後地元開拓クライマーは、新たなる岩場を探し、その年の冬、甲府幕岩を開拓していったのである。
※ 阿行子(あなこ)。阿井、行方、小泉の3名の総称。山梨開拓クライマー御三家である。

岩場の概要

実際の岩は太刀岡山の中腹に点在している。岩質は安山岩。最初に開拓が行われたのが下部岩壁メインエリア。正面の大岩壁の下に幅50m程広がっている。柱状節理が発達しており、コーナーを使ったクライミングや、カンテラインを登るルートが多いのが特徴
アリ地獄エリアや、右岩壁、シャークロックなどにも数本のラインが引かれた。アリ地獄エリアは、130度ほどの傾斜にルートが1本のみであったが、その後もう1本追加された。岩はブロック状の大きなものがはめ込まれたような形をしている。見るからに崩れてきそうで、恐い。
下部エリアの開拓が終わると、小山ロックが開拓さた。小山ロックは現代ニーズにあった傾斜をしている。小山ロック周辺には、マランボウロックやハサミ岩などが点在している。

シーズン

と秋が適する。冬は北風が強く寒い。日当たりもそれほど良くないので、勧められない。4月一杯まで強い風が吹く。5、6月は気持ちよく登れる。但しブユや蚊が出るので、虫よけなどを忘れないように。
梅雨の時期は、下部岩壁は浸み出しなどがあり登れないときが多い。小山ロックは染み出しもなく乾きも早いので、晴れていれば登れる。夏は蒸す。標高もそれほど高くないので快適とは言えない。秋から晩秋にかけてもコンディションがよい。

アプローチ

太刀岡山までの地図自動車で太刀岡山へ行くには、中央自動車道韮崎IC方面からと、甲府昭和IC方面からの2通りがある。
韮崎ICからは、出口を右に曲がりひたすら一本道を登っていく。途中「ホッチ峠」を越えて、最初の分岐路を左に曲がる。分岐路は合流する形で交わるので、行き過ぎないように。清川釣堀まで行ったら行き過ぎ。
甲府昭和ICからは出口を「竜王方面」へ。国道20号(2車線)を走り、竜王駅の標識を右に曲がる。竜王駅を横切りひたすら北上すれば良い。
20号を行きすぎてしまうと1車線になる。
甲府駅からバスで、「清川」まで行く方法もあるが、本数が少なく終バスの時間が早いので、お勧めできない。
1998年10月現在、白い別荘の所にあった駐車場は、川の増水のため流されてしまった。
岩場は二つに大別される。初期に開拓された正面壁下部岩壁周辺と上部の小山ロック周辺だ。
下部岩壁へは、白い別荘周辺から荒れた踏み後を辿っていく。但し、夏の前後は雑草が生い茂るので道が分かりづらい。徒歩約5分で下部岩壁メインエリアに到着する。
小山ロック周辺へ行くには、太刀岡山登山道を登っていく。徒歩約15分で小山ロックに到着する。

太刀岡山アプローチ

注意事項

太刀岡山で心配されるのは、駐車場と火事だ。駐車エリアが少ないので、路上駐車になるケースもある。但し、止める場所には注意し、迷惑にならないように。
火に関して、焚き火は厳禁。植林された杉、檜は大変燃えやすい。秋には周囲一体落ち葉が積もるので、なおさら危険。従って、たばこの始末もきちんとすること。
周辺には、村落と別荘地が点在しているので、付近の住民には迷惑をかけないこと。
テントサイトは、近くのキャンプ場を利用するしかない。岩場周辺は以前OKだったが、心ないアウトドアーピープルのために禁止されてしまった。
ゴミは持ち帰りが常識。付近に落ちている物も積極的に持ち帰ってもらいたい。
トイレは、岩場周辺に決められた場所がない。メインエリア周辺はバラが多く草むらにはいると痛い思いをする。出来れば、少し下って広場周辺でするのがよい。小山ロックには指定の場所がある。南面よりトラバースする道があるので、尾根上まで行って用を足すこと。

周辺ガイド

【キャンプ】

岩場周辺は禁止されている。
ノースランドキャンパーズビレッジ
〒400-12 山梨県中巨摩郡敷島町上芦沢1352
0552-77-0105 FAX 77-0358
ビッグホーン
0552-77-0080 77-0234

【宿】

太刀岡山登山道入り口に小泉商店の使ってない民家がある。一泊1100円/人。ガス、電気、水道、風呂、布団等全てそろっている。
場所 山梨県敷島町下芹沢476
電話 0552-77-0430(小泉清商店)
予約 宿泊予定日の1日前までに電話のこと。キャンセルも要電話。
キャンセル料無し。
小泉商店 食料品、酒(自販機あり)

【水場】

清川釣り堀のすぐ近くに農協があるので、そこの水道が利用できる。付近のお店などでも快く水道を貸してくれる。

【風呂】

山宮にある山宮温泉がお勧め。夜9時まで営業。
山宮温泉 0552-51-4263 甲府市山宮2532
料金500円
他にも甲府周辺に多数有り。

【食事】

甲府クライマー御用達は、雨宮牧場(牧場と書いてあるが、ただの食堂)。ここのトンカツ定食はボリュームがあって、おいしい。
山宮温泉でも食事が出来る。

【食料】

千塚にあるスーパーキャロット。夜10時まで営業。その周辺にはコンビニもある。

コメントする